伝統、工業、芸術と密接に関わってきた陶という素材で、自身の経験を生かし、器やオブジェなどを手掛けています。映像や文章などを取り入れ、器からインスタレーション(総合芸術)まで、多彩に表現を広げていくことを目指しています。

最近の制作のテーマは、「鉄と石炭の時代」のイメージを大枠に、その中に潜む「あこがれ」という要素に注目しています。そのあこがれは植物が上に向かって伸びる様や、生物が発生し進化を繰り返しながら生活の範囲を広げていく様、また人類が技術を進歩させ、スピードを求めたり、空や海に活動範囲を広げていくその中に共通した好奇心とも、上昇志向ともいえる気持ちです。

私はそれを、ヨーロッパの産業革命後、あるいは日本の大正期、まだ未来に対して夢を持っていた少し前の時代の形に見つけることができます。その時代を支えたのは、進化の爆発と呼ばれた時代の太古の生物の遺骸である石炭でした。太古の生物も新しい環境に未来を求め、進化し地球全土に広がっていったのです。

今、現代社会は明るい未来を想像することが難しくなっています。人は自分勝手に退廃的な方向に進んでいます。ですから、そこによりよい未来に対する「あこがれ」を込めてオブジェ等の形を作っています。生物も植物も人類も長い歴史の中で「あこがれ」の向かう方向に進んできました。何にあこがれ、どんな未来を夢見るのか。心の中に素敵な「あこがれ」を持つことができるのならば、未来の形は変わっていくのだと思います。

芸術は心に響きます。人の想いを揺さぶり、好みを変え選択を変えていきます。理論で理解するのではなく感覚で受け取る故に、抵抗感なく心の奥底にまで届くからです。この世界も人自身も複雑です。相互に関わり合い絡み合っているからです。ですが、人はその世界を見渡してそのなかに共通する要素を見いだすことができます。それに私はメッセージを込め、合わせて作品とします。その作品がそれを見る人の心を揺さぶり未来をよりよく変容させていくことができるのなら、それに勝る喜びはありません。